「待った。あんた何が言いたいんだ?」
眉根を寄せて小鳥を見下ろし、嫌な予感に胸をざわつかせる。
「まさか婚約解消とか言い出さないよな?」
ちょっと怒り気味に言ったら小鳥がビクリと肩を震わせた。
「……でも…そうした方が…」
「っ…!あんた、なんにもわかってないなっ」
「え…?きゃ…!」
乱暴に顔を上向かされた、その瞬間――。
「ん…」
甘い口づけが落ちてきた。
唇が重なり、カロンの熱が伝わってくる。
「今更、手放すわけないだろ」
カロンの吐息が頬を撫でた。
至近距離で二人の視線が交わる。
「あんたが好きだ、小鳥」
いつになく真剣なカロンの瞳に、思わず小鳥は言葉を失った。
「カロン、さん…」
私も好きです、とすぐ返せずにいると、カロンから唐突にこんな命令が。
「ちょっと後ろ向いて」
「え?」
「髪、邪魔。持ってて」
「え…?え?」
訳がわからないが素直に従ってみる。
すると、チャリと首元で音がした。



