「蜜莉ー、いちゃつくなら余所でやれ余所で」
「あ、ごめん」
カロンに言われ、蜜莉は周りのことを思い出した。
「すっかり二人の世界でしたわね」
野薔薇がふふっと笑う。
「良かったね…!ミッつん」
ちょっぴりもらい泣きしてしまった小鳥も笑顔で胸を撫で下ろした。
「けど、あのクソガキは大丈夫なのか?また一緒に暮らすなら、あいつ邪魔じゃね?」
「それなら心配いりませんわ!普段は軍学校の寮にいますし、またこういうことがないよう、わたくしがキッチリ見張っておきますもの」
「ありがとう、姉さん」
「ふふ、可愛い弟と妹の幸せのためですもの。礼なんていらないですわ」
そう言うと、野薔薇は未だに眠っている紫音を抱き上げた。
「では、わたくしは紫音を連れて先に帰りますわね」
「うん。もう少ししたら僕も帰るよ」
目の前にある包帯グルグル巻きの胸板を見て千恵は不安げに瞳を揺らす。
「入院、しなくて平気…?」



