「ミッつんは悪くない!謝っちゃ、ダメ…!」
弾かれたように声を荒げる千恵。
蜜莉は苦笑した。
「悪くない、か…。でも、きっと卑怯者だよ」
抱きしめる腕を解いて、そっと千恵の顔を包み込み上向かせる。
「千恵。虫のいい話かもしれないけど…聞いてほしい」
「な、に…?」
蜜莉は綺麗に微笑んだ。
「好きだよ。僕と結婚して下さい」
柔らかい笑みに、切なげな眼差し。
「ずっと、傍にいて…」
「っ…!」
嘘のような、夢のような彼のセリフに、千恵は顔を真っ赤にさせながら数秒固まっていた。
震える唇。
やがて彼女は徐に問い掛ける。
「こんな…私で……いいの…?私…とっても、きたな――」
最後までしゃべれなかった。
声は蜜莉の唇に奪われ、くぐもる。
キスされたと理解するのに千恵はタップリ三秒かかった。
「どこが汚いの?教えて?」
唇を離してからの甘い囁き。
まるで汚いところなど蜜莉の目には全く映っていないかのような発言だった。
それは「どんな千恵でも受け入れる」という彼の返事。
途端、千恵は嬉しくて涙を溢れさせた。
「ミッ…つ…!私っ、私も、ね…ずっと…ずっと、すきで…!」
「なら僕のプロポーズ、承諾してくれるのかな」
コクンコクンと何度も頷く千恵を見て、蜜莉はようやく安堵した。
ありがとう、と微笑んで、また抱きしめる。



