「連れて来たぞー」
カロンが黒髪の少女――千恵を前に押し出す。
「やっと戻ってきたか。じゃあ僕は帰るから」
それと入れ違いにオーレリアンがスタスタと出て行った。
「千恵…」
蜜莉がそっと呼び掛ける。
すると、その優しい声に千恵は肩をビクリと震わせ、俯いたまま素早く野薔薇の背中に隠れた。
ここに来るまでの間、野薔薇から紫音の勝手な行動と蜜莉の本当の思いを聞かされた千恵。
もう蜜莉を憎む気持ちはなかったが、その代わり酷い罪悪感に苛まれた。
合わせる顔が無い。
恥じ入りながらカタカタと震える手で野薔薇の服をキュッと掴む。
「千恵……おいで」
再び呼び掛けられた。
恐る恐る蜜莉を見る。
柩に座っている彼は、上半身裸のまま両手を広げていた。
千恵に向かって。
「おいでよ、千恵。さっきはろくに…話もできなかったから…ゆっくり、話したいな」
蜜莉の胸に巻かれた包帯が千恵の目に入る。
彼女は泣きそうな表情で口を開いた。
「ご…ごめ……な…」
「ん?何?」



