――蜜莉は来ないよ。来るわけないじゃない。キミの顔を見るのも疲れるから、わざわざボクに廃棄処分を頼んだんだよ?



――はいき…しょぶん…?



――ここ、どんな場所か知ってる?いろんな物好きが集まる市場なんだよ。ここで買われた人間の末路はかなり無惨らしいよ?新しい主人に切り刻まれたり奴隷にされたり玩具にされたり…。ふふ。キミはどうなっちゃうんだろうね?



――や……い、や……助けてっ…助けてミッつん……蜜莉ぃい!!!!



――アハハハ!!お別れだね、ちえ。バイバイ



助けなんて来なかった。

闇市場で新しい主人に買われ、新しい家でゴミみたいに扱われた。



――お前ら人間なんて取り替えのきく消耗品なんだよ!使えなくなったら望み通り血をしぼり取って殺してやる!まだ動けるなら働けグズが!



理不尽な暴力のせいで腕が曲がり、足が折れたこともあった。


(それでも……死ななかった……)


まだ、生きている。

ならば――。


(あの地獄から逃げ出して、この街に来たんだっけ…)


まだ生きる運命ならば、自分の好きなように生きたい。

地獄のような屋敷から逃げ出せば、自由という名の救いが得られると思った。

けれど、この街も地獄の続きだった。