これで患者に集中できる。
オーレリアンは蜜莉に向き直った。
包帯を解いた蜜莉が胸の傷をオーレリアンに見せる。
「うわ……かなり深いね。どんだけ恨みこめたらこうなるの?」
「あ、はは…」
力無く笑う蜜莉。
「どうにかできそうか?」
近づいてきたカロンが問う横でオーレリアンは鞄を開ける。
「いつもの薬持ってきたから、とりあえずそれ飲んで。そしたら輸血する」
「輸血?んなことできるのか?」
「やるしかないだろ。蜜莉は口から血を摂取できないんだから。血管に直接流し込む」
そう言って鞄の中から血が入ったボトルを取り出すと、オーレリアンはちょっと手を止めて小鳥を見た。
「……あのさ、お前もどっか怪我してる?」
「えっ」
ギクリとした小鳥の表情をオーレリアンは見逃さない。
スンと香りを嗅いで小鳥の服に手を伸ばす。
「ここか」
「ひゃあ!?」



