プツリ。
注射器の針が紫音の首の後ろに刺さった。
「くっ…!」
振り返って背後にいるオーレリアンを睨む。
「何を打った…!」
「睡眠薬。すぐ効いてくるよ」
「ハハッ…軍学校で鍛えてるボクにその辺の睡眠薬が効くとでも…」
「悪いけど、その辺の睡眠薬じゃないから」
「……なっ…!」
不意に紫音の身体がぐらりと揺れた。
激しい眠気に襲われ膝をつく。
「少量で象もぶっ倒れるって言われてるヤバイやつ」
「……くっ…この…ヤブ医者っ…」
吐き出すように罵ると、紫音は目を閉じ意識を失った。
「失礼な奴。というか、医者じゃないし」
もう紫音には聞こえていないだろうがとりあえず言っておく。
そんなオーレリアンに、野薔薇が胸を撫で下ろして感謝を述べた。
「ありがとうございます。助かりましたわ」
「礼なんていらないから。ムカツイてやっただけだし」



