ガラリと扉が開いた。
そしてカロンが振り返るよりも早く罵声が飛んでくる。
「歩く非常識は突っ立ってる場所も非常識すぎ。邪魔、迷惑、消えろ」
「オーレリアンさん…!」
声を聞いて誰だかわかった小鳥が末っ子の名前を呼んだ。
「おー、早かったな」
「急いで来たんだ。感謝しろよな」
カロンを退かしてツカツカと室内に入って来たオーレリアンは大きな黒い鞄を蜜莉の隣に置いた。
「というか…お前もいたんだ、メスブタ」
「あ…はい」
仏頂面で小鳥のことをチラリと見てから蜜莉に視線を移す。
「心臓刺されたんだって?よく生きてたね」
「褒め、てる…?」
「お前にしては頑張ったんじゃない?」
傷を見せろと言われ、蜜莉は服を脱ぎ出した。
包帯が巻かれた上半身が露わになる。
そんな中、紫音と野薔薇の攻防は未だに続いていた。
「放せっ!姉のくせに!弟の我が儘一つ聞き分けないの!?」
「あなたの我が儘は可愛くないんですのよ!最悪ですわ!」
「そう…そんなこと言うんだね。ならまず野薔薇、キミを消す!死ね!!」
手錠で拘束されているとはいえ、さすが実力派クラスのエリート。
紫音は一瞬の隙をついて姉を蹴り飛ばすと手榴弾を構えた。
しかし野薔薇だって肉体派クラスの戦闘部隊所属だ。
戦いには慣れている。
素早く体勢を立て直して彼女が紫音を視界に捉えた瞬間――。
「患者がいるのにうるさいよ!大人しく寝てろっ」



