「ねえ、蜜莉。やっぱりあの女、殺そうよ」
「え……?」
「邪魔なんだよ。昔から。ボクの蜜莉を独り占めして、いい気になって。ウザイ人間だなってずーっと思ってた。だから売り飛ばしてあげたのに、今度は逆恨みだなんて許せない」
「売、り…飛ばす…?紫音、何言って…」
「ふふ。殺しちゃったら蜜莉が悲しむと思って、闇市場に売ることにしたんだよ。けど、甘かったね。確実に破壊しておけば良かったなぁ」
チャリ、と手錠の鎖が鳴る。
紫音の手が蜜莉の頬を包み込んだ。
「そうすれば蜜莉が傷つくこともなかったのに…。ごめんね、蜜莉」
「なっ……し、しのん…!」
聞かされた真実に青ざめ、唇が震える。
そんな蜜莉に代わって野薔薇が大声を上げた。
「紫音!?あなたが千恵を売ったんですの!?」
「だからそう言ってるでしょ。相変わらず頭悪いね」
紫音の声に反応してズキズキと激しく痛み出す心臓の傷。
「それじゃあ……まさか…千恵は…」
途切れ途切れの蜜莉の言葉を紫音が引き継ぐ。
「蜜莉に捨てられたって思ってるよ。馬鹿な女だよね。最高に」



