EGOISTIC狂愛デジャ・ビュ【カロン編】


「わかった…。順番に説明するね」

楽な体勢になれるよう柩に座り直しながら蜜莉は口を開く。

「僕は昔、千恵って女の子を飼ってたんだよ。黒髪の日本人で、姉さんが僕にプレゼントしてくれたんだ」

「あの頃はまだ薬もなくて、蜜莉は部屋に閉じこもってばかりいましたから…遊び相手にと差し上げたんでしたわね」

「うん……。そうだったね…」

千恵はとてもいい子だった。

すぐ蜜莉と仲良くなり、常に傍にいるようになった。

「僕の癒しだったよ…。僕が人間のご飯を食べるようになったのは…千恵がきっかけだったな…」

蜜莉が血を飲んでは吐き出している現場を見てしまった千恵は、自分のご飯を差し出してこう言った。


――わたしの、食べて!おいしいよ…!


期待などしていなかった。

ちょっとした興味本位から蜜莉は千恵が食べようとしていたおにぎりを食べた。


――どう?ミッつん。おいしい?


「……美味しかったんだ。千恵の優しさも…嬉しかった」

それからますます一緒にいることが多くなった二人。

仲の良さもそのままに蜜莉が十八歳、千恵が十二歳になった時だった。

「なぜか突然、千恵はいなくなったんだ」