それを見届けてから野薔薇が話を再開させた。
「蜜莉、どうして話したくないんですの?」
「だって……言ったら姉さん達は犯人を殺そうとするでしょ?そんなことしないって約束してくれなきゃ…話せないよ」
悲痛な表情で姉を見上げる。
「お願い……手を出さないって…約束して」
泣きそうな顔で必死に懇願する蜜莉。
儚げな弟の姿に弱い野薔薇は困ったように腕を組んでから長い溜息を吐き出した。
「……わかりましたわ。約束します」
「姉さん…ありがとう」
「紫音、あなたも誓いなさいな。ほら早く」
「嫌だ。殺すんだもん」
「あなたね!蜜莉が悲しみますわよ、よろしくて!?」
「うぅ……蜜莉が悲しむのは、嫌。……約束する」
しぶしぶ約束してくれた弟に笑みを送り、蜜莉は改めて四人を見回した。
「僕を刺したのは…千恵(ちえ)だよ」
「千恵?それは昔飼っていた、あのペットのことですの?」
「……あの女っ……まだ生きてたんだね…」
目を丸くする野薔薇と、内なる怒りを抑えて静かに言葉を吐き出す紫音。
(千恵って…確か紫音さんが話してくれたような…)
思い出そうとしていると小鳥の隣でカロンが挙手した。
「おーい、誰のことかサッパリなんだけど。俺にもわかるように頼むわ」



