EGOISTIC狂愛デジャ・ビュ【カロン編】


「それは……できないっ」

苦い表情で渋る蜜莉。

血を受け付けない身体の彼は先程からこの治療法を断っていた。

「血を飲む以外で、何か方法はないんですか?」

辛そうな蜜莉の力になりたくて小鳥が看護婦に尋ねる。

「……私達には…これしか手立てがありません」

「だからって無理矢理与えないで下さいな!蜜莉は血が飲めないんですのよ!」

「けれど、このままでは血が足りなくて死んでしまいます!」

平行線な会話に不安を感じる小鳥。

するとその時、カロンがこんな提案をした。


「なあ、俺の弟、呼ぶ?」


何のことかと、全員の目が点になる。


「オーレリアン。呼んでやろうか?」

「あっ!」

蜜莉の表情がパッと明るくなった。

「うん!呼んで欲しいな。お願いカロンッ」

「ん。わかった。ちょっと待ってろ」

この場で携帯電話を取り出すカロン。


(そっか!オーレリアンさんがミッつんの薬作ってるんだもんね!)


我が家の末っ子なら蜜莉に合った治療法を提供してくれるだろう。


「……あー、オーレリアン?俺俺」

カロンが通話を始める。

「は?俺俺詐欺?ちげーから。切るな」

それから彼は簡潔に蜜莉の状況を説明した。


「ん。じゃあよろしく」

短時間で通話を終了させ、ニヤリと笑う。

「来るってさ。今から」