「紫音!?ここですの!?」

バタバタと足音がしたかと思うと、廊下から野薔薇が駆け込んできた。

「野薔薇さん…?」

「小鳥…!カロン様も!聞いて下さいませ!」

慌てた様子の彼女にカロンが首を傾げる。

「なに?」

「蜜莉が…!」

「ボクの蜜莉がどうしたの?」

兄の話題になり紫音もベッドから降りてきた。


「蜜莉が刺されましたの!」

「は?」

「え?」

「なっ!」


カロンと小鳥が面食らい、紫音がキツイ表情をする。

「どこ!?ボクの蜜莉はどこにいるの!?」

「病院ですわ。連絡がありましたの。何があったのかはまだわかりませんけれど…」

野薔薇の話を最後まで聞かずに紫音は部屋から飛び出した。

「俺達も行くぞ、病院」

「はい…!」

「わたくしが案内しますわ!」

案内役を買って出た野薔薇に従い、二人も屋敷を後にした。