その涙を恐怖からくるものと勘違いしたカロン。
紫音に鋭い殺気を放つ。
「小鳥から離れろ!!」
「うるさい。キミがボクに勝てるわけ――」
――ガチャン
言い終わる前に手錠が鳴った。
「いくらあんたでも、俺のこれには敵わない」
素早い動きで紫音に近づき両手を拘束する。
「げっ!またか!」
ガチャガチャと無駄に手を暴れさせる紫音の横でカロンは小鳥を抱き起こした。
「立てるか?」
「はい…。そんなに吸われてないので…大丈夫です」
「そか…。悪かったな。俺がいたのに…こんな…」
血がついている小鳥の腹部にそっと口づける。
そんなカロンの行為に顔を赤くしながら、小鳥は急いで乱れた服を直してベッドから立ち上がった。
「逃がさない!!」
手榴弾を投げようと構える紫音。
しかし――。
――ドゴッ!!!!
それよりも早くカロンが壁を殴りつけた。
へこんでヒビが入った壁からパラパラと破片が落ちてくる。
凄まじい破壊力に唖然となる紫音と小鳥。
カロンは横目でギロリと紫音を睨んだ。
「いい加減にしろよクソガキ」
その巨体で小鳥を包み込むように抱き寄せる。
そのまま部屋から出て行こうとしたカロンだったが…。



