紫音の声が少し低くなる。
「その人間、“ちえ”っていうんだけどね。本当にうざい女でさ…」
何を思い出したのか、紫音は苛立った様子でベッドのシーツをきつく握り締めた。
「このボクから…。蜜莉の半身とも言える弟のこのボクから!よりによって奪ったんだよ……蜜莉を!!」
至近距離で爆発した怒りに対し、小鳥がビクリと身体を震わせる。
それを見て紫音はニタリと笑んだ。
「だから、売っちゃったんだ。蜜莉に内緒で。あんな目障りなペット、いらないよね。だってボクの気分を害することしか能がないんだもん」
肯定も否定もできず、小鳥は固まる。
すると紫音がキスをするかのように顔を近づけてきた。
「ねえ、キミはどうなの?キミは蜜莉の何?もしボクの蜜莉に気があるようならキミも闇市場に売り飛ばしてあげる」
「わ、私はミッつんの友達です…!気があるとか、そんな…!」
「友達?ボクの蜜莉に友達なんて本当はいらないんだよ?けど蜜莉が欲しがるから仕方ないよね。あーあ、昔は蜜莉の笑顔も泣き顔も全部ボクだけのものだったのに」



