「ねえ、起きてよ」
ペチペチと頬を叩かれる。
「ボクに運ばせておいてシカトするの?キミの心臓止めてあげようか?」
紫音が更に強く叩いてきたため、小鳥は痛みを感じて瞼を上げた。
「う……ん…」
「あ、やっと起きた」
横たわる小鳥を上から覗き込んでいた紫音。
目が合うと彼は邪気なくニッコリ笑った。
「おはよ、人間。馬鹿丸出しの表情で寝てたよ。愛嬌があってなかなか可愛かった。蜜莉には負けるけど」
「あ……えっと……ここ、は…?」
微妙な感想はスルーすることにして、身体を起こし問い掛ける。
小鳥は周りを見回した。
窓のない小さな室内。
家具は人間用のベッドのみで壁は灰色。
なんとも地味で簡素な部屋だ。
「ここはね、とっておきの隠れ場所。昔ここでペットを飼ってたんだ」
「ペット…?」
「そう。人間をね、飼ってたんだよ」



