「小動物……」
カロンの隣から紫音に頑張って意見する小鳥。
嬉しいと思う反面、戸惑いも強いカロンは、自分のために必死で声をしぼり出す最愛にかける言葉を探しながら、再びこの腕に彼女を抱き寄せようとそっと手を伸ばした。
が、その瞬間。
「人間風情が、ボクの蜜莉を語るな」
カロンの手よりも先に紫音が小鳥の首に手をかけた。
そしてギリギリと首を絞める。
圧迫しながら紫音は小鳥の首に爪を食い込ませた。
「っ…!いっ…」
「ふふ、苦しい?痛い?痛がってる表情ってボクだーい好き」
「小鳥っ!?」
慌てたカロンが紫音に向かって飛び掛かろうとする。
しかし忘れてはいけない。
相手は戦闘慣れした軍学校の生徒なのだ。
「ふふ」
笑いながら紫音はアライグマのぬいぐるみをカロンに投げつけた。
「っ…!!」
間一髪で避けるも、ぬいぐるみは壁にぶち当たり、爆発。
カロンが硝煙にむせている隙に紫音は小鳥を抱き上げた。
「ハハッ!ねえ、かくれんぼしよっか。鬼はキミだよデカブツ」
「はあ!?おい待てっ……クソガキ!」
廊下へ飛び出る紫音を追ってカロンも走り出す。
(カ…ロン、さん……)
首を絞められたせいで朦朧としていた小鳥は紫音の腕の中で意識を手放した。



