紫音は部屋に入ってくるとパタンと扉を閉めて小鳥を睨んだ。
「ねえ、そこの人間」
「えっ、あ、はい!」
「キミは甘いのと苦いの、どっちが好き?もちろん甘いのでしょ?」
「おい、小動物を巻き込むな。こいつは甘いもんが好きでもいいんだよ。女なんだから」
「どういう意味?」
紫音が尋ね、小鳥が首を傾げる。
カロンはちょっと間をおいてから真面目な顔をした。
「甘いもん食ってる時の女子って、可愛くねぇ?」
「そう?苦いものを美味しそうに食べてる時の蜜莉だってカワイイよ」
「……いや、蜜莉は女子じゃねーから」
「うるさいな。ボクの蜜莉を馬鹿にしないでよ」
「してねーし。むしろ落としてんのあんただろ」
互いに睨み合う。
小鳥にはバチバチと飛び散る火花が見えたような気がした。
「あ~、うっざい。どうしてこんなデカイだけの能無しが蜜莉の友達なの?信じられないよ」
罵られてもカロンは痛くも痒くもないのか無表情。
紫音を追い払うために何か言い返そうとカロンが口を開きかけた時だった。
「か、カロンさんにヒドイこと、言わないで下さい…!」
「え?」
「は?」
突然割って入った小鳥の声に二人が目を丸くする。
「カロンさんはとっても優しいんです!ミッつんだって…きっとわかってますよ。だから友達なんです」



