どうやらカロンは自分の敬語がお気に召さないらしい。
ならば頑張ってくだけてみようか。
そう考えた小鳥はキュッとカロンの服を握った。
そして恐る恐る、小さな声を出す。
「……か、カロ、ン………………………………………………だいすきっ」
恥ずかし過ぎて最後はカロンの胸に顔を埋めてしまった。
プルプルしながら彼の反応を待っていると…。
「ちょ……タンマ」
何やら上擦った声が降ってきた。
気になってゆっくり顔を上げてみる。
すると小鳥に負けないくらい顔を赤くしたカロンが視界に映った。
「やっぱあんた……まだ敬語でいい」
「え…」
「今のだいすきは反則だろっ。言ったあと俺にすがりついてくるな。あー……くっそ!」
「きゃ!」
小鳥をギューッと抱きしめてゴロンとその場に寝転がるカロン。
「おい、小動物」
「は、はい」
「あいつらの前では絶対タメ口禁止な」
「あいつら…?」
「俺の兄弟。ただでさえあんた狙われてるのに、敬語取っ払ったらマジで気が抜けねぇー。可愛すぎだバカ」
カロンの腕の中で小鳥の小さな胸がドクンと高鳴る。
(カロンさん…大好き、です)
心の中でならこんなにすんなり言えるのに、口に出してちゃんと伝えることはなかなか難しい。
(大好き…)
伝わるようにギュッと抱きしめ返せば、思いを受け止めるようにカロンが優しく髪を撫でてくれた。
「俺も。……ダイスキだ。小鳥」



