「行っちまった。なんなんだ蜜莉のやつ」
ガシガシと頭をかくカロン。
ふと彼は小鳥が手にしているゲームを目にした。
「ん?あんた、それやるのか」
「え…あ……」
「なんのゲーム?」
「おとめゲーム、だそうです」
「ふーん…」
興味なさ気な声を出したカロンだが、小鳥の手からスポンとそれを引っこ抜いた。
「あんたはやっちゃダメ」
「えっ、ええ!?なんでですか!」
「だって、これってあれだろ?野郎にチヤホヤされるゲームだろ?」
「カロンさんだって似たようなゲームやるんでしょう?自分だけズルイじゃないですか!」
「俺はいいの。ちゃんと目的があるからな」
「目的…?」
キョトンとして首を傾げれば、カロンがニヤリと笑う。
「あんたがこれ見て嫉妬してくれればいい。そう思ってる」
「え……ええっ!?」
顔を真っ赤にして驚く。
そんな小鳥をジッと見つめながらカロンは唇を尖らせた。
「だってさ、小動物は嫉妬とかぜーんぜんしてくれないじゃん。いっつも俺ばっかとか、ズルくねぇ?」
「か、カロンさん…嫉妬なんかしてましたか…?」
「してたぜ?例えば……蜜莉にだけタメ口なのとか」
するとカロンは隣に座っていた小鳥を抱き上げ、ヨイショと自分の膝に乗せた。
「なあ、俺にも可愛く話し掛けてくれない?“カロン、大好き”って言ってみ」
「えっ、ふえ…!?」
耳元で囁かれ、恥ずかしさに俯く。
「ほら、はーやーく」
「むむむむりですぅ…!」
「無理じゃない。絶対言える。つか、いつまで俺らに対して敬語なんだよ。もっと楽にしろっての」



