「乙女ゲームってやつ。ギャルゲーは主人公が男子だけど、これは女の子が主役で男子を攻略していくゲームなんだ」
つまり女の子用の恋愛ゲーム。
「……このゲーム…ミッつんもやったの…?」
「まさか。それは姉さんのだよ」
蜜莉はクスリと笑う。
「カロンあんなだしさ。君も見せつけてやりなよ。これはこっちでできるから」
そう言うと手の平サイズのゲーム機にソフトをセットしてくれた。
(見せつけてやれと言われても…)
躊躇いつつ横目でカロンを観察する。
「蜜莉ー、こいつにする。この黒髪女子」
相変わらず遊ぶ気満々な様子だ。
(もうっ!いいもん!私だって遊んでやるんだから)
プクッと頬を膨らませて電源を入れようとした時だった。
「ダメ!!」
蜜莉の怒鳴り声がして、小鳥は肩をビクリと震わせた。
「ダメ…!そのキャラだけは……だめ」
カロンが攻略したがった黒髪少女を見つめて、蜜莉はなぜか苦しそうに眉根を寄せる。
「蜜莉…?どうした?」
「あ…そのっ…」
「もしかしてこいつ、蜜莉のお気に入りか?」
「そ、そう…なんだ!だからカロンに攻略されるのはちょっと…見てられない、というか…」



