小鳥とカロンの前を駆け抜けて行く黒髪の少女。
突如、風の如く現れた彼女は、助けを求めている女性に向かって行った。
握っているナイフで闇人達を切り付け、被害者の手を握る。
「こっち!」
少女は女性を引っ張って再び小鳥とカロンの前を通り過ぎていった。
「逃がすかぁ!!」
男達が後を追いかける。
その背中を見送りながらカロンは瞬きを繰り返した。
「へえー。今のガキ、度胸あるな。見捨てるだろ、普通」
「助けに入った女の子……人間でしょうか?」
「ああ、たぶんな。ぼろい服着てたし…この辺の道端に住んでる脱走人間だな」
「脱走人間…?」
聞き慣れない単語に首を傾げると、カロンが淡々と説明してくれた。
「食われちまいそうなところを命からがら逃げてきた人間とか、ペットとして飼われてたけど家から脱走してきた奴とかのこと。この辺には結構いるんだよな。そういう野放し状態の人間が」
だからゲス野郎もウヨウヨしてるんだ、と付け足して口をつぐむ。
小鳥は果敢に闇人へ挑んだ黒髪の少女の必死な横顔を思い出し、抱いていたぬいぐるみをきつく握り締めた。



