その時、横からカロンの腕が伸びてきた。
グイと肩を抱かれて彼の胸に引き寄せられる。
「カロンさん…!?」
「あんまし治安よくないから、離れるなよ」
「は、はい」
カロンとの近すぎる距離にドキドキして声が震えてしまう。
それを恐怖と勘違いしたのか、カロンはニヤリと笑った。
「そんな声出して……不安なら手錠でもしとく?」
「持ってきたんですか!?」
「前に言っただろ?“いつも常備してる。されたくなったら言って”って」
常に持っている手錠を見せつけてから真面目な顔になるカロン。
「一応言っとくけど、別にペットだとか思ってないからな。単純にフィアンセとしてあんたの身を心配してんの」
「カロンさん…」
ならされてもいいかなと、ほんのちょっぴり思ってしまった小鳥だったが、カロンの次の発言で心中の呟きは撤回される。
「まあ、そういうプレイが好きなら付き合ってやらないこともないけど?」
「ぜ、全力で遠慮しますっ!」
「えー。手錠デートってのも悪くなくねぇ?」
「初デートでそんなの嫌です!」



