EGOISTIC狂愛デジャ・ビュ【カロン編】



 そして初めてのデートの日、小鳥はカロンと一緒に電車に乗って住宅街を後にした。

向かった場所は、高いビルが多く、人でごった返している都心のような街中だ。

暗い偽りの夜空の下、色とりどりのネオンが輝く。

「カロンさん…ここは?」

「歓楽街」

即答したカロンを横目に小鳥は考える。


(カロンさん、デートって言ってたけど、ここで何するのかな?なにも教えてくれなかったから、ちょっと不安だよ…)


ついてくればわかるとだけ言われて大人しくここまでついて来た。


(うう…さっきから女の人には睨まれるし…ここの雰囲気は歌舞伎町みたいで怖いし……帰りたい)


アイドルのくせに顔を隠そうともせず堂々と街中を歩くカロンのせいで、先程からファンの女性らしき人達に睨まれ続けている小鳥。

彼女達が絡んで来ることはないが、たまに近くでシャッターを切る音が聞こえたりする。


(これってパパラッチもまじってたりするのかな?カロンさん、私と二人きりで本当に大丈夫…?)