EGOISTIC狂愛デジャ・ビュ【カロン編】


「それよりカロン。勉強、しなさい」

隅っこにあるソファーに腰掛け目を閉じていたフェオドールが命令口調で会話に参加してきた。

よっぽど心配なのか、続けて詳細を聞いてくる。

「お前が受けるテストは何があるんだ?」

「んーと…英語に古文に現代文、静理の吸血史に…フェオの薔薇の神秘学。それから民間伝承学」

「カロンさん、前に受けてた人間飼育の授業はテストないんですか?」

「あれはレポート」

「少ないじゃん!俺なんか八科目あるし」

ルカが羨ましげな目でカロンを見る。

それを眺めながらフェオドールは腕を組んで溜息をついた。

「カロン、せめて去年落とした共通科目くらい必死に勉強してくれ」

「へいへい。わかりました。あーあ、今年の共通には歴史入ってるし……また落とす可能性大だぜ」

「なら静理に出るとこ教えてもらおうよ!俺も吸血史は自信なくてさ」

ルカの隣でケータイを弄っていた静理が会話を耳にしてピクリと片眉を上げる。

そして爽やかスマイルで言い切った。

「教えないからね。ちゃんと自分達の脳みそで勝負しなさい」

「ヒッデー。あんたはカワイイ弟達を愛してないの?」

「愛ゆえのムチだよ」

「静理が言うとシャレに聞こえない…」

ルカの呟きが妙に頭に残った小鳥だった。