「はい…。けど…カロンさんには……彼女、さんが…」
悲しげな表情で細い声を出す小鳥。
「彼女?ああ、あれは関係ない。好きでもねーし、あんたみたいに特別でもなんでもない」
カロンはどう言葉を続けようか迷った。
「あんただけだ…。だから…なんだ……その…。愛し合うための一歩、つーか」
言いながら抱きしめたい衝動に駆られ、小鳥を腕の中に閉じ込める。
「もうペットはヤメだ。そんなふうに縛らなくても、あんたは俺のこと好きでいてくれるんだろう?」
囁かれた問いに、小鳥はカロンの中で何かが変わったことを悟った。
自然と笑みがこぼれる。
「はい!」
元気良く返事をしてから小鳥はふと思った。
「でも…私、この部屋にいたいです。ダメですか?」
こちらに慣れてきた今、わざわざ元の部屋に戻るのもカロンと離れるようで寂しい。
「まあ、あんたがいたいなら別に構わない。けど…」
アッサリ許可したカロンは柔らかく微笑んで小鳥の顔を覗き込んだ。
「カギは二度と掛けないからな。好きに出ていいぜ」
閉じ込めて可愛がるだけが愛じゃない。
そんなことをしなくても大丈夫なのだと、カロンは知った。



