「え…ちょっと待て。どういう意味だ?」
「だから、小鳥は君のもの。僕が貰うって話は無しにしてあげるよ」
正直に負けを認めたからね、と言ってウインクをする。
そんな兄の顔をたっぷり三秒見つめてから、カロンはハッとした。
「まさか…あんた最初からそのつもりで…」
「何?何のこと?」
「あー……ウッザ。マジ一回シネば」
「ハハッ、そこは素直じゃないんだ。可愛くない奴だね。お兄様の寛大なお心に感謝と感動の気持ちで胸がいっぱいですとか言えないの?」
「……言えるかよ」
再び睨んでからクルリと背を向ける。
カロンが部屋から出ようとした時だった。
「ああそうだ、カロン」
呼び止められて顔だけ振り返る。
「君の“彼女”。僕に返してね。お仕置きしなくちゃいけないからさ」
「へ…?」
白魔のアメジストの瞳に狂気を垣間見たような気がしたカロンだった。



