一言で表すならカロンの精神は「ヤケクソ」だった。
(メシ時、二回も過ぎてる…。絶対、出たよな。出て食ってなきゃ飢えて倒れてるぞ。そこまで馬鹿じゃないだろ)
就寝時刻の少し前に帰ってきたカロン。
屋敷の廊下を歩きながら憂鬱げに髪をかき上げる。
(今更…期待なんてしない…)
本音とは逆のことをわざと心で呟いて自室の扉を開ける。
そのまま奥にある小鳥の部屋へ。
ドキドキしながらそっと扉に手を掛けて中を確認すると、カロンは目を見開いた。
「おい!!小鳥!?」
扉を叩きつけるように開け、中へ飛び込む。
彼は直ぐさまソファーの上で死んだようにグッタリしている小鳥を抱き上げた。
「おい!!大丈夫か!?生きてるよな!?なあ!?」
大声を出せば、小鳥はゆっくりと瞼を上げた。
「カロン、さん…?」
ぼんやりした表情。
カロンは小鳥が生きていたことにひとまず安堵した。
「あんた、まさかずっとここにいたのか…?メシは!?」
「たべて…ません」
ずっと室内にいたと知り、カロンの瞳が揺れる。
驚き、嬉しさ、安心を感じた後、なぜだか無性に泣きたくなった。
「なんで……気づかなかったのか?カギ、開いてただろ…?」
震えてしまう声で尋ねると、小鳥は穏やかに笑った。
「カロンさんを信じて…待ってたんです…。やっと、来てくれた…」



