小鳥が勝手に外へ出ようか迷ったのは、ご飯時になってもカロンが戻って来なかった真夜中の二時頃だった。
「カロンさん…遅いなぁ…」
お腹がぐうと鳴る。
「いつもなら、とっくに来てくれてるのに…」
チラリと扉の方を見る。
いつ帰って来るのかと、先程からチラチラ気にしているのだが、一向にカロンが訪れる気配はない。
(……開いて…るんだよね)
今日に限って扉は開いていて。
まるで、ご飯はご自由にどうぞと言われているみたいだ。
(どうしよう……出て……みようかな)
ふらり、と扉に近寄り、ノブに手を掛けそうになる。
しかし、勝手に出て怒られた過去を思い出し、パッと手を引っ込めた。
「だ、だめ!やっぱり、カロンさんを待ってよう」
ぬいぐるみ達が集まる賑やかなソファーに座り、カロンのことを考える。
「カロンさん、お仕事長引いてるのかな…?もしかして……事故にあった…とか…?」
それとも、自分のことなど忘れて「彼女」と過ごしているのだろうか。
(そうだ……ペットの私なんかより…彼女さんの方が大事…だよね…)
胸がズキリと痛む。
悪い方へ悪い方へ考えてしまい、苦しみに顔を歪ませていると、クマのぬいぐるみが元気づけるようにしゃべってくれた。
『ファイト!ファイト!ダイジョーブ!』
「うう…クマちゃん…!」
ギュムッとクマを抱きしめてゴロンとソファーに寝転がる。
お腹が空いて力が出ない状態の小鳥は、そのままぬいぐるみ達に囲まれてひたすらカロンを待った。
必ず来てくれると信じて。



