全ての抑圧から解放され自由になった時、彼女も自分を睨むのだろうか。

「けど、解放してやらなきゃまともに恋愛できねーもんな。気づいてビビった」

カロンに恋心が芽生えたとしても、監禁状態の小鳥がカロンに対してまともな恋心を抱くとは思えない。

いずれ外に出してやる必要があるのは理解しているが、臆病な心のせいで行動に移せないことはわかりきっている。

「白魔との賭はその一歩か。ああー…あのクソ兄貴に感謝とかマジないわ…」

いきなり外に放すのが怖いなら、こっそりカギを開けておけばいい。

白魔はそう提案したのだ。


(お願いだ…出て行かないでくれ……)


一度自由になった小鳥がまた鳥籠に戻ってきたとしても、それはカロンにとって失望となる。

「俺に誓ったよな…。あんたを…信じさせてくれるって…」

誓いを軽々しく破るような人間の愛情など信じられない。

だから出て行かないで欲しいのに。


(出て行かなかったら、あんたは白魔にっ…)


奪われたくない。

その日、カロンは小鳥の手をギュッと握って瞼を閉じた。