「プリマドンナは落ちなかったか。なら後はあの愚弟次第、だね」
独り言を言いながら居間へ向かう。
白魔が廊下を歩いていた丁度その時。
「あ、カロン。お帰り」
愚弟呼ばわりしていた弟のカロンとすれ違った。
「なに。あんたが笑顔でお帰り、とか。気持ち悪い」
「ふふ、何の偏見かな?」
内心で弟を見下しながら白魔は笑う。
「ところでさ、カロン。今、小鳥と会ってたんだけど」
「は?」
「彼女に教えてあげたよ。あのこと」
「なっ…!」
考えるより先に身体が動いた。
カロンが白魔の胸倉を掴み、持ち上げる。
一方的に白魔が苦しむかと思いきや、さすがは長男。
カロンの動きとほぼ同時にナイフを構え、弟の首筋に突き付けた。
「手を放しなよ。単細胞」
「チッ…」
ナイフで切り付けられては面倒なことになる。
カロンは乱暴に白魔を突き飛ばした。



