「っ…!」
父親から言われたフィアンセ兼ボディーガード。
小鳥を守るという使命感はあったのだが、フィアンセとしての自覚がカロンには全くなかった。
「カロンはいっつも小鳥のことペットペットって言ってるけど、本当はどう思ってんだよ!マジで動物扱いしてるなら俺が小鳥をさらってやるからな!あの部屋から解放して、カロンには二度と触れさせない!」
「…っざけんなっ!!」
カロンの瞳孔が開く。
怒りに任せてルカに殴り掛かろうとした瞬間だった。
「ストップ」
カロンの腕にムチが巻き付いた。
「こんな道の真ん中で、恥ずかしいからやめなさい。やるんなら俺みたいに路地裏で、ね」
「あークソッ、静理かよ…」
爽やかに物騒なことを吐く次男をカロンは横目で睨みつけた。
見れば静理の隣にはフェオドールの姿もある。
「カロン、落ち着け。ルカも」
「落ち着けるかよフェオ!カロンの奴、最悪だぞ!」
ルカがカロンの胸倉を掴もうとしたのでフェオドールは弟の手をきつく掴んだ。
「ルカ……いい加減にしないとキレるぞ」
フェオドールに低音ボイスで囁かれ、ゾクリとする。
兄弟の中でキレたら一番恐ろしいのが、普段大人しいフェオドールだ。
わかっていたのでルカはしぶしぶ手を下ろした。



