カロンに彼女ができた事実は二、三日の間ですぐさま生徒達に知れ渡った。
どうやら舞い上がった彼女が言い触らしているらしい。
(まあ、どーでもいいけど)
カロン本人はどこ吹く風といった様子だ。
下校時刻、一人でサッサと帰路につく。
今日はこのあと仕事もないので思う存分小鳥を愛でられるから嬉しい。
カロンが自然と笑顔になっていた時だった。
「あの、カロン様。今日は一緒に帰りませんか?」
待ち伏せていたかの如く例の女子生徒が校門前に現れた。
「ヤダ」
「そんな…あのっ、途中まででも!」
「あんたの彼氏がヤダって言ってんの。聞き分けろよ」
素っ気なく言ってからスタスタと歩き出す。
「待って下さい!カロン様!」
(クソッ、しつこい)
腹が立つので怒鳴ってやろうか。
カロンが彼女の方に振り向いた、その時。
「ああーっと、ゴメン!今日はカロン、俺と帰る約束してたから」
グイと腕を引っ張られた。
隣を見ればいつの間にいたのか金髪碧眼の弟、ルカの姿が。



