「カロン様がモデルだった頃からずっと好きなんです!お願いします、私を彼女にして下さい!」
「ヤダ。ウザイ。迷惑」
バッサリと言葉で切り捨てたカロンだったが、ふと思い付いた。
「ああ…でも。あれならいいか…。ギブアンドテイクってやつ?俺ともしねぇ?」
女子生徒に一歩近寄り、ニヒルに笑う。
「俺の彼女ってポジションやるから、あんたは俺が呼んだらいつでも身体開け。いいな」
冷めた目で見下ろしながら低い声を出すカロンは見るからに極悪人だったが、女子生徒は嬉しそうに顔を輝かせた。
「うわー、どうでもいい子には容赦ないね。やっぱりカロンも僕の弟だ」
「うるさい」
笑う兄をジロリと睨む。
すると白魔が急に真剣な眼差しでカロンを見据えた。
「ねえ、君に彼女ができたって小鳥が知ったら…どんな表情を見せてくれると思う?泣いちゃうのかな?きっと可愛いよ」
「……さあな。知られなきゃいい話だろ。泣かしたくねーし」
「そう上手くいく?」
「あんたが黙ってりゃ問題ない」
「ハハッ、無理な相談だね」
嘲るような声にカロンは嫌な予感を抱く。
「…マジで話す気か?」
「さあ?どうだろう。小鳥を大事にしたいっていう君の意思を尊重してあげるかもしれないよ?まあ、期待はしないでね」
ハッキリとしない答えを置いて白魔は教室から出て行った。
残されたカロンと女子生徒。
愛のない恋人ごっこが始まった。



