「ああ、丁度いいね。こっちおいでカロン」
「は?ヤダ」
不機嫌全開で教室から出ていこうとする弟に苦笑しながら白魔は手招く。
「そう言わずにさ。今、君に関係ある話をしていたんだよ。この子とね」
「話してたか?俺にはあんたがそいつを吸血しようとしてたように見えたけど」
「まあそれは、ギブアンドテイクってやつさ。欲っするなら見返りを差し出せってね」
クスリと笑ってから白魔は女子生徒をカロンの前に押し出した。
「この子、僕の生徒なんだけどさ、君のファンなんだって。どうしてもお近づきになりたくて、僕に君を紹介してくれるよう頼んできたんだよ。どう?図々しい子でしょ?僕に甘い声で擦り寄ってきておいて君を選ぶなんてさ」
「お近づき、ねぇ……。下心丸見え」
汚いものでも見るように女子生徒を一瞥すると、カロンは再び背中を向けた。
そのまま行ってしまいそうになる彼を女子生徒が呼び止める。
「まっ、待って下さい!カロン様!」
「なに。紹介は終わっただろ?もう用はないよな?俺ねみぃんだけど」



