「……確かに、怖かったけど……無理なんて、してないよ」
あの時、ルカはちゃんと小鳥の言葉に耳を傾けて、暴力をやめてくれた。
ルカ曰く、理性が吹っ飛んでいたらしいが、そんな状況でも小鳥の声を聞いてくれた。
「あのことだけで、ルカくんのこと嫌いになったりしないよ」
素直に気持ちを伝えれば、ルカは悲しそうに力無く微笑む。
「……小鳥は、優しいね。俺は……ちょっとダメかも。思い出すと、自分のことが嫌になる。小鳥が止めてくれなかったら、あのままホントにヴォルフのこと殺してた」
ジタバタするペギーをテーブルに置きながら、ルカは独り言のように言葉をこぼした。
「俺って学習しないよな。小鳥の父さんの時だって……カッとなって、衝動的に……。最悪じゃん。昔から全然、変わってない……。ハハ……やっぱダメだね、俺」
普段は理性が働くが、小鳥のことになるとダメだった。
それは笑ってしまうくらい今も昔も同じで、小鳥だけが初めて会った雪の日から「特別」なのだと、ルカは強く思い知らされる。
弱々しいルカの自嘲を聞き、小鳥はふと思った。
(ルカくんは、私に怖かったでしょって言うけど……本当に怖がってるのは、ルカくんの方なんじゃ……?)



