EGOISTIC狂愛デジャ・ビュ【白魔編】



 空港から出ると、また自動車での移動が始まった。

本格的に日が昇る前に地下へ行きたいのか、かなりスピードが出ている。

「これからどこへ行くんですか?」

「郊外の墓地……だったよね?ランベルト」

白魔が尋ねるとランベルトは大きく頷いた。


(まさか…お墓から地下世界に…?)


そのまさからしい。

数十分後、車はとある教会前で停止した。

降りて辺りを見回し、小鳥は改めて感動する。


(ここが、ドイツかぁ…)


日本よりも乾燥した空気を肺に吸い込みながら遠くまで広がる緑の草原を見渡す。

所々に民家はあるが、郊外のため近くにビルなどの大きな建物はなかった。

空港からここまで、車内の窓がカーテンで遮光されていたので景色を楽しめなかった小鳥は、今やっと海外にやって来たのだなと実感した。


「小鳥!こっちだよ」

白魔に呼ばれ、ハッと我に返る。

景色を眺めていた小鳥は慌てて彼の傍に寄った。

「すみません…!」

「いや、君は悪くないんだ。僕があまり動き回りたくないから呼んでしまっただけ。ごめんね」

謝る白魔は、長袖長ズボンに手袋をしてサングラスという完全防備スタイルだ。

その上、日傘で顔を覆っている。


(ここまでするって……よっぽど太陽ダメなのかな…?)


ランベルトも似たような格好をして車内から現れた。