快適な空の旅は長いようであっという間。
食事をしておしゃべりをして睡眠をとっていたらもうドイツの上空へと来てしまった。
「ん…今何時…?」
時差があるので夜だか朝だかわからない。
機内の後部にあるベッドルームにて目を覚ました小鳥は眠い目を擦り周りをキョロキョロ。
時計を探してみるが、目のつく場所に見当たらなかった。
「……あ、そうだ」
外の様子を見て判断しよう。
遮光のため板が下ろされている窓に近寄り開けようとした瞬間――。
「ダメだよ小鳥っ!!」
一緒に寝ていた白魔が後ろからガバッと小鳥を抱きしめた。
「白魔さん…?」
「絶対に開けないで!もし太陽が出ていたら…僕らは一巻の終わりだっ」
「あ…!」
太陽の光は闇人にとって危険。
命だって奪いかねない。
「ごめんなさい……軽率なことして…」
「いいよ。わかってくれたならね」
小鳥がよしよしと頭を撫でられていると、キッチンの方から茶髪美女の召使が様子を見にやって来た。
「何かございましたか?」
「いや別に。ああ、そうだ。今何時?」
「午前六時二分です。そろそろ着陸いたします」
丁寧に対応してくれる彼女はエマと言って、闇人ではなく人間だ。



