音楽室は防音だが、静かにしていると漏れ聞こえる微かな音が耳に入って来る。
小鳥にもピアノの音がわかった。
「おっと~!しかもこれはグレートヒェンだね」
「え!?」
恋人に捨てられたと思っている少女が、恋しい人を思って歌う曲。
「今のホワイト・デビルが誰を思ってこれを弾いているのかは、簡単にわかってしまうね。なぞなぞにもならないよ」
小鳥の胸がキュウッと締め付けられる。
(私を思って…弾いてるの…?白魔さん…!)
まだ求められている。
あんなふうに拒絶してしまったのに、彼は待ち続けているのだ。
「リトル・バード、ドアを開けてみようか」
「え!?待っ――」
「へーきへーき!キミなら大丈夫さ」
有無を言わさず開けられた扉。
慌ててランベルトの背中に隠れるが、ナイフは飛んで来なかった。
細く開かれた隙間から中を覗き見る。
すると、見えたのは黒のグランドピアノを奏でながら歌い、涙を流している白魔だった。
「白魔さん…!!」
堪らず駆け出す。
演奏中だろうと構わず、小鳥はぽろぽろと涙をこぼす彼をギュッと抱きしめた。



