「白魔さん…」
どこかへ行ってしまった彼を探す気にはなれなかった。
追いかけて、また押し倒されては敵わない。
手で涙を拭うと小鳥は柩から起き上がった。
自室へ戻るべく、廊下をのろのろ歩き出す。
(どうしよう…。白魔さん、泣きたいって言ってた…)
自分だけ被害者のような顔をして小鳥は彼の痛みから目をそらし、あげく求められた慰めを拒絶した。
(私のせいだ……私が…卑怯だからっ)
あそこで拒絶してはいけなかったのだ。
わかっていたが、怖かったのもまた事実。
(……白魔さんに会ったら、なんて声を掛ければいいのかな…?)
頭の中がグチャグチャで、ズーンと落ち込んでいる小鳥の足取りは重い。
(それに…あの変な感覚)
急に身体が動かなくなる、あれ。
(あれは一体なんなの…?)
思い返せば白魔と誓いを交わした後からだ。
身体があのように反応するようになったのは。
「鮮血の誓い…だっけ?」
ゴクリと唾を飲む。
(調べて…みようかな)
関係なければそれでいい。
とにかくハッキリさせたい。
小鳥は図書室へと行き先を変えた。



