「……わかった、みたいだな」
小鳥の反応を見てフェオドールが呟く。
彼はコツと一歩、小鳥に近づいた。
「あ、あの…私は、白魔さんが…」
縮んだ距離の分、小鳥が一歩下がる。
するとフェオドールは更に足を前へ進めてきた。
ポーカーフェイスな彼なので、今何を心に思っているのか小鳥には全く見当がつかない。
(フェオさん、ちょっと怖い…)
無言でゆっくりと迫って来る彼に心も身体も追い詰められる。
小鳥の肩がトンと廊下の壁にぶつかった。
フェオドールの手が優しく伸ばされ、小鳥の逃げ道を塞ぐ。
壁についた彼の両手は柔らかな檻となり獲物を閉じ込めた。
「……白魔が、いいの?」
至近距離で囁かれた甘ったるい声は悪魔の誘惑のように甘美だ。
うっとりしそうになったが、小鳥は気をしっかり持って何度も頷く。
「……なぜ?白魔でいいなら…俺だって…」
「フェ――」
まるでスローモーションだった。
フェオドールの顔で視界が満たされたと思った瞬間、口移しで与えられた情熱。
唇を奪われたと気づいた時には既に遅く、彼の手が頬を包み込んでおり逃れる術はなかった。
(やだ…!フェオさん!)
必死で押し退けようとするが小鳥の身体を抱き込んでしまったフェオドールにキスをやめる気はないようだ。
(薔薇の、香りが…)
クラクラする。
このまま堕ちてしまいそうになった小鳥だが…。



