サーッと顔が青くなる。


(そ、そうだ…。ペットのポチがいたんだ!)


どうやら巨大コブラはお留守番だったらしい。

挨拶でもするかのように小鳥へと擦り寄って来る。

「やっ…やあ!」

左足に絡み付いてきたポチ。

悲鳴を上げて廊下へ飛び出すが、依然巻き付かれたままなので小鳥の身体は震えた。


(ううっ…気持ち悪い!!)


どうにかして引き剥がそうと足を振ってみた小鳥だったが、逆に刺激してしまったようだ。


――シャーッ!!


蛇の口が開かれる。

「い、いやあああ!!!!!」

噛まれると思った、その時。

ふわり――薔薇が薫った。


(え…?)


気づけば蛇の目に青薔薇が突き刺さっていた。

痛みにのた打ってポチが小鳥から離れる。

すると次の瞬間、その頭はグシャッと踏み潰されてしまった。

「あ……」

踏み潰した足の主を恐る恐る見上げる。


「……マドモアゼル、怪我は?」


助けてくれたのはフェオドールだった。