さて、女子二人が店内で真剣に下着選びをしている頃、店の外の柱に寄り掛かって待たされている氷河は退屈だった。
(ハァ…俺は何をやってるんだ…。月那とゆっくり過ごせる貴重な休日を人間などに奪われたあげく、忠犬さながらに「待て」だと?いや、月那に命令されればいくらでも待つが…)
「あれ?魔冬氷河?」
心中で愚痴を吐き出していた氷河の耳に飛び込んできた声。
意識を周りに向けると目の前にクラヴィエ家の長男、白魔が立っていた。
「お前…!どうしてここに!?」
「それはこっちのセリフだよ。こんなところで君と会うなんてさ。偶然て怖いね」
一瞬、小鳥をつけて来たのかと思った氷河だが、直ぐさまその考えを否定する。
(つけられていたら疾うの昔に俺が気づいているはず。本当に偶然か…)
「僕の場合は野暮用だけど、君は?」
手に持った買い物袋を持ち上げて見せる白魔。
どうやら純粋に買い物をしていたらしい。
「俺だって野暮用だ」
「ふーん」
「聞いておいてその反応の薄さはないだろう。というか暇だ。話し相手になれ」
「は?なんで僕が」
「だいたい、お前の女のせいで俺は月那との時間を削られているんだ。少しくらい付き合え」



