「そこまでだ。いいぜ、認めてやる。座りな」
やがてサイコロを振る胴元が静理に参加の許可を出す。
静理は暴力の手を止めて席に近寄った。
喧嘩に加わらなかった客が倒れたままの小鳥を見遣る。
「んあ?そこの女、死んだか?」
静理は小鳥を見もせずに素っ気なく返した。
「さあ?どうでもいい」
「ならその女、俺にくれよ。イイ血の匂いしてるしよ」
「それは俺のだ。譲られねぇよ」
「なんだ?彼女か?」
「今日のメシ」
それだけ言うと、もう静理は小鳥のことなど忘れて賭博に意識を集中させた。
(し……ず、り……さ……)
静理に向かって手を伸ばそうとした小鳥だったが、自分の意思に反して体は全く動かない。
(わた……し、死ぬ……の…?)
怖い。
死ぬのは、怖い。
体が、言うことを聞かない。
目も耳も声も、流れ出る血と共に役目を失っていく。
(痛い、こわいっ……死に、たく……ない……!くる、しぃ……こわ、いよ……っ)
こんなのって、ない。
こんな終わり方、嫌だ。
死にたくないーー。
閉じていく意識の中で、それだけを強く思う。
そして小鳥は、そのまま静かに息を引き取った。



