笑顔のまま、静理の怒りのボルテージは上がった。
だがしかし、こんなところでブチギレたくはない。
(小鳥ちゃんもいるんだ。……落ち着こう)
ジェラルドの丸眼鏡やつけ髭を睨みつけながら、小鳥の手を引いて速やかに逃げようと考えた静理だったが。
「ここは何のお店なんですか?」
悪気なく、小鳥が余計な言葉を投げてしまった。
「良くぞ尋ねてくれた小鳥ちゃん!ここはね、ほんの僅かな時間、なりたい自分になれるかもしれない魔法のお店なんだよ」
「魔法のお店……?」
小鳥が興味ありげな様子で首を傾げる。
こうなっては仕方ない。
静理は逃げることを諦めた。
そしてザッと店の様子を観察する。
商品なのか、色々な形の小ビンが陳列台に並んでいた。
「例えばこれ」
その中の一つを手に取り、ジェラルドが小鳥に差し出す。
「これは年頃のマドモアゼルに人気だよ」
「胸が、大きくなーる……?」
小ビンのラベルに表記された文字を読み上げて、小鳥が反応に困ったような表情をする。
腹の中を真っ黒に染めながら静理は笑顔で言い切った。
「セクハラだね訴えようか」
「い、いえ!大丈夫ですよ」
「遠慮しないで小鳥ちゃん。訴えられて当然だから。ついでにその他の悪事も暴かれて社会的に死ねばいいと思うよ」



