彼のデスクを見れば電源のついたパソコンとそれを囲む様々な史料。

「歴史、でしたよね」

「うん。闇人……吸血鬼の歴史だよ」

何を思ったのか、小鳥はジッとパソコンを見つめてから、おもむろに言った。


「あの、静理さん。お願いがあるんですが…」

「ん?なにかな」

「私にも闇人の歴史を教えて下さい!」

予想外の「お願い」に静理の目が点になる。

「え……それはつまり…俺に授業してほしいってことかい?マンツーマンで」

「できれば、嬉しいですけど……静理さんが忙しいなら…無理にとは」

「いや、大丈夫だよ。毎日は無理だけど、そうだな……火曜日と金曜日なら何時でも空いてるよ」

「ならっ、お願いできますか?」

「わかった。週に二回。一時間を目安に準備しておくよ」

「ありがとうございます!」

笑顔の彼女に静理はふとした疑問をぶつけてみた。

「どうして俺達の歴史を知りたいんだい?」

すると、小鳥はちょっぴり照れながら純粋な答えを口にした。

「皆さんのことを、もっとよく理解したいから…」

「……そう、かい」

嬉しいと答えるべきか、静理は迷って口を閉じた。