静理の足は動いた。

小鳥を助ける方向へ。


「君達、廊下で何やってるのかな?通行人の邪魔だよ」

「わお、静理が出た。ビックリ」

「棒読みだよカロン。ほら、小鳥ちゃんを放そうね」

小鳥からカロンを遠ざけると、次に絡み付いている白魔を引きはがしにかかる。

「白魔も離れて」

「邪魔しないでよ、静理」

「小鳥ちゃんを守るのが今の俺の役目だ。嫌がってる彼女を見て黙ってはいられないよ。おいで、小鳥ちゃん」

静理は小鳥の手を握り歩き出した。

そのまま自室に連れ込みバタンと扉を閉める。


「……これで、良かったのかな?」

チラリと小鳥を見て問えば、彼女は恐縮した様子でペコリと頭を下げた。

「あっ、はい!ありがとうございます」

「あの二人はしつこいから、気をつけて」

「本当に助かりました。静理さんは…これからお出掛けですか?」

「いや、気分転換に部屋を出ただけだよ。明日必要なレジュメがまだ出来上がっていないからね」