白魔の指先が小鳥の髪に伸ばされ、絡み付く。

「今日はフェオドールが出てるから、代わりに僕が働けってオーレリアンがうるさいのさ。ハァ…静理のとこに行かなきゃ。あーやだやだ、面倒臭い」

「静理さん、家にいるんですか?見掛けないですけど」

「あいつなら調教部屋だろ」

「調教部屋…?」

良からぬ雰囲気の単語に顔をしかめる小鳥。

「そうだよ。静理は躾担当だからね」

「それって……人間の…?」

恐る恐る尋ねると、白魔が無言で妖艶に微笑んだ。

その笑みを肯定だと決定づけるセリフをオーレリアンがくれる。

「当たり前だろ」

わかってはいたが、さも当然のように言われてしまうと何だか虚しい。

小鳥がちょっぴり俯くと、白魔が徐に口を開いた。

「僕らにはそれぞれ任されてる仕事があってさ。詳しく話したことあったかな?クラヴィエ社について」

「……ないです」

クラヴィエ社。

それはクラヴィエ家の人間によって動く人身売買の会社だ。