もしも倒れた原因が貧血ならば、申し訳なさすぎる。

小鳥は泣きそうな顔になった。

「……私の、せいです。私が静理さんの血を、吸ってるから……だから静理さん、貧血に」

「吸ってるって……えっ、まさか毎日?」

「はい……」

ルカの問いに小さく頷くと、白魔が目を細めて質問を続けた。

「どのくらい?」

「えっと……私がお腹いっぱいになる、まで……」

眠そうに聞いていたカロンがピクリと反応し、驚いた様子で小鳥を見る。

「それ、わりとガッツリ吸ってねぇ?」

「はい……わりと、ガッツリ……です」

「ハァ……やっぱり静理なんかに任せるんじゃなかったね。だって狡いでしょ。毎夜、自分だけプリマドンナの可愛い牙と唇を感じてるなんてさ。羨ましい」

言いながら、白魔の獲物を狙う瞳がキラリと光る。

その眼差しを向けられた小鳥はビクリと震えた。

「ねえ、君にご奉仕するべき奴隷は寝てることだしさ、今夜は僕の血でどう?」


(うぅ……どう、と言われても……!!)


吸って下さいと誘われているはずなのに、なぜか自分が吸血されそうな予感がビシバシする。

ちなみに、小鳥は闇人になってから静理に血を吸われたことは一度もない。

「ちょっと待った!それなら俺の血でも……!」

「図々しいね、引っ込んでなよ、ルカ」

「白魔は大人気ない!!」

「……なるほどな。こうなるから静理は自分に任せろって言ってたわけか」

白魔とルカの言い合いを呑気に眺めてカロンは納得した。