(美味しい、か…。フェオさん、梅干し好きなんだね)


小鳥も梅干しは好きなので共感していると、隣で買いたそうにウズウズしているフェオドールに気がついた。

「買いますか?」

「っ!……いいのか?」

「はい。私も好きですし、フェオさんも一緒に食べましょう」

言いながら梅干しのパックを一つ手に取る。

すると、フェオドールは瞳を輝かせながら小鳥を見つめた。

目は口ほどに物を言う。

彼の目は「嬉しい!嬉しい!嬉しい!」と語っていた。


(なんか、可愛い…)


いつも大人な雰囲気の彼が、小さい子供のような眼差しを向けてくるからギャップ萌えである。

おまけにフェオドールはちょっぴり照れながらこう言った。


「ありがとう…小鳥」


マドモアゼルではなく、不意打ちの呼び捨て。


(し、心臓に悪い!)


ドキドキとうるさい胸を押さえながら小鳥は梅干しを買い物カゴに入れたのだった。